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信じ続ける奇跡
 「あ、髪切ったんスか?」
 「そうなの!ちょっとアシメでしょ?」
 「いやいや、マジでアシメってますよ〜」

 近所にあるコンビニの店員同士の会話である。
 
 いや、僕もまだ若いからね、アシメがなにか、わかってますよ。
 …アシンメトリー、でしょ?
 ほら、若い。
 しかし
 動詞の活用形があったとは知らなかった。


 菅原さんとお昼を食べた。
 菅原さんは42歳で、小学3年と中学1年の子供がいる。
 「もう12月になりますね」から、話は自然とクリスマスになって、サンタの話になった。
 「上の子はもうサンタさんがいないこと、わかってるんだけど、下の子がねぇ」と洩らした菅原さんの顔からは、いいお父さんの表情が出ていた。
 菅原さんのなんとも言えない頼りない雰囲気が好きで、一緒にお昼を食べることが多い。
 「たじまさんはどうやってサンタさんがいないってこと知ったの?」
 と訊ねられた。
 「・・・小学4年のときの家庭科の時間に、先生から教えられました」
 「え!それひどいなぁ!」 
 「ひどいですか?僕はもっと早くに親から教えて欲しかったですよ。先生はひどくないんじゃないかなぁ」
 「いいや!大事なことでしょ、サンタさんを信じてるってことは。そういう大事な教育を学校が奪っちゃいけないよ」
 「そういうものですか」
 「親になるとね、わかるよ。でも僕もね、そう言いつつも、いつ教えるべきか決心がつきかねてるんだよね。だからPTAの集会に参加したとき先生に質問したもん、サンタっていつ教えるべきでしょうかって、手を挙げてね」
 「けっきょく先生まかせじゃないですか(笑)」
 「え?そう?いや、でもやっぱり親がさぁ〜」

 いいなぁ、菅原さん。
 なんだか菅原さん自身がサンタさんの存在を信じていても不思議ではないような、そんな可愛らしくて危なっかしいところがある。42歳、サンタさんを信じる。
 それくらいの奇跡はあってもいい。あってくれ。
 あ、もしかしてこれが、親になるとわかると言った菅原さんの気持ち?
  
 将来、もしも僕に子どもができるようなことがあるならば、サンタさんはいるんだよって、だからいい子にしてるんだよって、言い続けたい。 
 
 ―お父さん、サンタさんっているの?
 ―当たり前じゃないか。だからいい子にしてるんだよ。
 
 10年後

 ―親父さ、この髪型マジでアシメってると思わねぇ?
 ―(泣き崩れる僕)


ばらの花/くるり
| 日記 | comments(9) | trackbacks(0) |
贈り物に困ったら。
 11月にもなれば、すでに街ではクリスマスのイルミネーションがすっかり始まっている。浮ついた気分のご相伴にあずかって、ついつい僕の気持も浮つきだす。と、こう言うと僕が普段から身を引き締めて生活しているように聞えてしまうけれども、言わずもがなの体たらく。

 小説や物語で、好きな場面というものは数多あるけれども、わけても「プレゼント」の受け渡しの場面は大好物だ。
 「大草原の小さな家」のクリスマスプレゼントの場面には十代の少女のようにときめいて、「小説家を見つけたら」のフォレスターの台詞「女性の心をつかむコツは、思いがけない時に思いがけない贈り物をすることだ。こいつは百発百中だ」は思わずメモをし、「パパ・ユーアクレイジー」に出てきた誕生日プレゼントは、確か「下の顎」という変てこな題のついた父の自作小説だったことも、とてもよく覚えている。
 いずれにしても印象に残っているこれらの場面は、心の通ったプレゼントに関わることなのだ。

 2週間くらい前にえみさんから「monkey business(文芸誌です)に載っている短歌、すごく良いので是非読んで欲しい」とのメールを頂いて、さっそく、というわけではないが、昨日買いに行ってきた。
 本屋の近くにあるドトールコーヒーでパラパラと捲っていくと、O・ヘンリーの「賢者の贈り物」に行き当たった。時期的にもぴったりのこの話を、今日は紹介したいと思う。

 あるところに、貧しい老夫婦のジムとデラが住んでいた。この夫婦には自慢できるものが二つある。それは、主人のジムが持つ懐中時計と、夫人のデラが持つ美しい髪だった。
 とても貧しいこの夫婦は、クリスマス・イブの夜にプレゼントを贈ろう考えているのだが、どうしようもなくお金が無いのである。そして、クリスマス・イブの夜、妻のデラは夫の懐中時計につける鎖を自身の髪を売って得たお金で買い、夫のジムは妻の髪飾りを自身の懐中時計を売って得たお金で買う、という話である。

 これが「賢者の贈り物」の筋である。一読すると、このちぐはぐの行き違いは、とても賢い贈り物だとは言えないかもしれない。互いに無駄な買い物をしてしまったかのように思う。しかし、O・ヘンリーはこう締めくくっている。

 しかるにここで私がつたなく語ったのは、たがいのために家の最大の宝をおよそ賢明でないやり方で犠牲にした、アパートに住む二人の愚かな子供をめぐるごくありふれた物語である。けれども、今日の賢者たちに向けて最後に一言言わせて貰うなら、二人こそ最大の賢者なのだ。贈り物を与え、受け取るすべての人々のなかで、彼らのような者たちこそ最大の賢者である。どこであろうと彼らこそ最大の賢者である。彼らこそ東方の博士なのだ。
 つまり、贈り物を選ぶとき、何が人気なのか、何が女性に(あるいは男性)喜ばれるかを考えてはいけない。それは賢いだけだ。
 贈り物は、「あの人」に喜ばれるものを考えなくてはならない。それがたとえ身銭を切るような、傍から見れば愚かな選択であったとしても、贈り物の選択として間違っているとは言えないのだ。
 この夫婦は、互いの大切にしているものをよく熟知していたし、それを飾る品を身銭を切ってまで相手にプレゼントしたのだ。O・ヘンリーのこの短篇は、贈り物の極意を教えてくれている。
 
 僕の言いたいことはこれだけ。
 贈り物にお困りの人は、他人に相談しないこと。

Can't Cook/The Car Is On Fire
| O・ヘンリー | comments(15) | trackbacks(0) |
あだ名の思い出、影響力。
 ずいぶん前からだが「不幸な人」というあだ名を頂戴して以来、ちょっとした不幸に出会うと「やっぱり自分って・・・」と思うことがある。
 この「不幸な人」というあだ名を拝命するまでの経緯をはしょってしまうと、キノコの繁茂しているような日陰が似合いの陰鬱な男と思われそうなので紹介するが、単に委員会で委員長を決めるにあたり、ジャンケンで負けに負けて委員長にまで上り詰めたといういらん武勇伝があるためだ。
 
 ゲラゲラゲラ、不幸な人〜♪今日からたじま、不幸な人ね〜♪

 語尾におたまじゃくしを飛ばしては楽しそうに笑っている悪魔が付けた呪いの名である。悪魔の名は黒澤と言う。美人である。許す。
 
 意識してるつもりはないのだ。しかし、些細な不幸に出会うたびに「そういえば昔あだ名が…」だなんて考えてしまう。そのためか、より強く印象に残る。いや、やっぱり普通の人より少し不幸かもしらん。
 免許を取得して以来財布は3回落としたし、一度も戻ってきたためしはないし(その間じつに2年)、もしも自分が他人の落とした財布を見つけた日にゃ社会への復讐のためにパクったろ!と思えども一向に道端で財布と出くわす機会に恵まれない。
 知り合いのおば様が「バスの定期券、昨日買ったばっかりなのに落としちゃって…」だなんて意気消沈していたら「ハハハ、僕なんて財布3回以上落としてますが一度も戻ってきませんよ。潔く諦めましょうよ、明日は明日の風が吹く、止まない雨は無い云々」と自らの不幸体験を披露し、笑ってもらった翌日には「スーパーのレジの店員が届けてくれて!」とバスの定期券を嬉しそうに見せてくれる。見せてきやがる。

 そういえば訳のわからんあだ名と言えば「ジブラ」と呼ばれていたこともあった。
 ジブラとはなんぞや?
 ジブラとは「ZEEBRA」である。ラッパーである。
 「なんでラッパー要素が全く無いお前がジブラって呼ばれるんだよ」
 と、友だちに言われた。
 「全くラッパー要素が無いところが逆に買われたんだと思う」
 そう言うと、友だちが納得して
 「あー、お前、いじられキャラだもんな」
 と言った。
 「うん」

 だからか、駅のホームでは、足を踏ん張り、しきりと後ろを気にするようになってしまった。
 一番いじられたくない、不幸があってはいけない場なのである。

 
Invisible Man/Mondo Grosso
| 日記 | comments(6) | trackbacks(0) |
そこのあなた、そう、あなたよ。
 そこのあなた、そう、あなたよ。
 
 占いと思い浮かべたとき、なぜかこの台詞が浮かんだ。読点まで一字一句間違いなくこの台詞が、声よりも文字として浮かんだ。なんでだ?
 そしてどう続くんだろう…
 
 ―あなた胸に穴があるわね。大きな穴だわ
 ―!どうしてそれを
 ―その穴を開けた人に、あなたは会うべきだわ
 ―くっくっく・・・
 ―え?
 ―そいつならもう殺したよ
 ―(ギョッとする占い師のおばさん)

 あぁ、寄生獣か。よく読みましたからね。
 しかしこの台詞、ステレオタイプ化された占い師の惹句なのだろうか。他の場面で使いようのない台詞だと思うけれども。
 
 ということで、ザ・暇つぶし。
 shinkaoさんがやっていたので「私の恋愛身分証明書」というのをやってみました。僕がまだ学生だったらまずまっさきに唾棄したであろうこの手の占いを、いとも簡単にやってのけるようになったのはなんでだ。
 あんまり仲がいい人には見てもらいたくない結果です。というのは、当たりすぎててマズイから。さあ!ブラウザのバックボタンをクリックして!見たってつまらないよ!
 この結果から脱却するためのある種の戒めとして載せておきます。頑張れよ、たじま。こんな結果に甘んじてはいけないのだ。機械なんぞに見透かされてどうする!
 ということで、以下証明書。


恋愛証明書

これはたじまに関する恋愛傾向を証明した書面である。
たじまの恋愛とは…
落として振り向かれて逃げたくなる恋愛である。

【普段の人柄】
接しやすい、親しみやすい、女慣れ、情に厚い

【恋愛で出る人柄】
感情の起伏が激しい、思わせぶり、嫉妬されやすい、彼女に甘い、モテるが逃げる。

【恋愛における長所】
いい意味で単純、人を安心させる空気あり。調和を図り、場を和ませ、場に溶け込む。聞き分けは良いほう。

【今後の課題】
女性とすぐ打ち解ける反面、あまりドキドキさせない。甘えそうな感じはあっても頼りがいなどは感じられない。

上記を考慮し、恋愛総合力を70点と認定する。以上。

その他、追加的分析

【基本恋愛テンションパターン】

・恋愛初期(出会い〜付き合い始め)
女性に期待させやすいが、いざというときに面倒くさくなり付き合わないことも。女性から責められやすいタイプなので、恋愛感情が盛り上がる前になんとなく避けたくなる。

・恋愛中期(付き合い始め〜半年)
幅広く女性と仲良くできるタイプなので、付き合うと相手を不安にさせる。それを重苦しく感じて、わりと付き合い始めから恋愛が難しくなりがち。

・恋愛後期(それ以降)
ここまでもたない場合も多い。このころには恋愛が面倒くさくなって、相手への愛情より避けたい気持ちが上回りやすくなる。気持ちが分からなくなりテンションダウン。

【アドバイス】
◆ 相手が強気に振舞っているように見えても、いつも心に余裕があるのはあなたのほう、という展開が多そうです。嫉妬される立場になりやすいので、まずは相手に自信をつけてあげましょう。

◆ 頼りにされたい願望がある一方で、少し頼られすぎて重たくなると逃げ出したくなるようです。犠牲的になりすぎず、「どうすればよいのか」よりも「どうしたいのか」に比重を置いて恋愛しましょう。

◆ 思うがまま、感じるがまま、を大事にしています。それは恋愛にはとてもいいことですが、人によっては「考えていない」とイラっとくる人もいそうです。感じること、考えること、両輪を意識しましょう。

◆ 女性からの告白を断るときには、気持ちだけは受け取って誠意を見せましょう。「気持ちは嬉しいけど」「そう言われるのは嬉しいけど」などと前置きして断るといいでしょう。


 アアナルホド、ナニモイウコトナイヤ。
 
結果の詳細→http://id.hanihoh.com/r/?k=a9110539254af2966fbf37c

一応相性診断→http://id.hanihoh.com/aisho/?k1=a9110539254af2966fbf37c

 閑ならやってみてください。そしてそっと、あなた様の結果を教えてくださいませ。
 現実逃避に本の世界に逃げ込むことにします。


ジュビリー/中村一義

中村一義の中では一番です。
| 日記 | comments(15) | trackbacks(0) |
読書メーター10月まとめ
 ずいぶん昔に、だいすきな女の子がいました。その子がどうやら僕に気があるらしいということを今更になって友だちづてに耳にし、「まさか」と半信半疑もいいところです。気にもとめていなかったら、その子から僕の携帯にたびたび連絡が入るようになり、一緒に遊ぼうという運びになりました。ま、まさか。
 待ち合わせ場所のコーヒーショップに先についてしまったのだけれども、本を読んでいても落ち着きません。しきりにコーヒーを啜って待っていましたら、「ごめんね、たじまくん、待った?」と息を切らした彼女が隣に座って声をかけてきたではありませんか!
 まずい、彼女の顔を直視できない。なぜか顔がにニヤてしまう。おさえろ、おさえるんだ!と自分の頬あたりに叱咤激励を飛ばしていたら、ニヤケ顔のまま目が覚めました。夢だったのね。夢だったのか。
  ニヤケ顔のまま起床ということがよくあります。面白い夢を見たら「やべえ、直木賞あざっす」だなんてニヤニヤしながら元気よく目を覚ましますが、唯一とったことのある夢の断片を記したメモには「屋上から半紙が降ってくる。半紙には血がべっとり」とだけあって、何がどうして直木賞なんだかさっぱりわかりません。どうしろってんだ、自分。
 ということで読書メーター10月まとめです。
 
10月の読書メーター
読んだ本の数:12冊
読んだページ数:3367ページ

夜は短し歩けよ乙女夜は短し歩けよ乙女
ちょっと気になってラ・タ・タ・タムをAmazonで検索したら5000円以上するらしいですねこの絵本。本の内容は…うぅーん、世間の人気ほどいい作品とは思えなかったけどまぁまぁ面白かったです。なんだろう、ちょっとやりすぎなのかな?でも「ほれ!」「はやく買わんと!」には思わず笑いました。森見作品はしばらくいいや!あんまり引き出しが多くないかも?
読了日:10月29日 著者:森見 登美彦
地獄変 (集英社文庫) (集英社文庫)地獄変 (集英社文庫) (集英社文庫)
そういえば読んだことないな、芥川龍之介。ということで読んでみました。俗な田舎の方言、格調高い言葉、女言葉などなど、文体の使い分けがすごい。ロマン・ア・テーズの文学なんて今ではほとんど見ないけれども、2回は読んで少しは持論を持ってみたいもの。一読したところ『秋』『蜜柑』『トロッコ』が良かった。教科書に載っていたような羅生門や蜘蛛の糸はちょっとテーマが見えすぎて…
読了日:10月28日 著者:芥川 龍之介
くまのパディントン (世界傑作童話シリーズ―パディントンの本)くまのパディントン (世界傑作童話シリーズ―パディントンの本)
ひたすらくまに萌えるお話。ペルーを決して略さない、『暗黒の地ペルー』というパディントン。ポンポンのついた毛糸の帽子を買ってもらって、人に挨拶するときにはポンポンをひっぱればいいというパディントン。ウッ!ときめいた!
読了日:10月25日 著者:マイケル・ボンド,ペギー・フォートナム,松岡 享子
新版 クラウド・コレクター (ちくま文庫)新版 クラウド・コレクター (ちくま文庫)
先に姉妹版である「すぐそこの遠い場所」を読んでいたので、カラーの写真を思い浮かべながら読めた幸せ!大風呂敷を広げてうっちゃっておいても十分楽しめるというのに、謎解きやステキな画の数々に悶絶しそうになりました。しかもよぉく見るとなんと3色刷りの豪華!そりゃあ文庫でも950円します。でも、もちろんこれで安いと感じる内容なんだ。「おお・・・不吉じゃ不吉じゃ」「・・・見てください、」「いや、ホントの話」等の口癖もポイントです。
読了日:10月23日 著者:クラフト・エヴィング商會
有頂天家族有頂天家族
家族愛です。ただし狸の。舞台が京都ということもあり懐かしい地名の頻出に嬉しく思いました。やはり人間が主人公じゃないものが自分は好きだな。しかし森見さん作品はなんというか、いろんな物を無理矢理ぶち壊しますな。もうちょっと大人しくてもいいんじゃないでしょうか。
読了日:10月20日 著者:森見 登美彦
車輪の下 (新潮文庫)車輪の下 (新潮文庫)
周囲の期待に、その期待以上に応えることができた少年ハンスは村の誰もが将来を嘱望する天才少年だった。人は期待されたらそれに応えたいし、期待に応えられなくなっても名誉の恢復を試みるが、期待に応えられなくなった人間に一切の期待をかけない周囲の信頼をまた得るのは過酷だ。天才からの転落を経験したハンスは、村に帰り誰にも期待されず、腫れ物にでも触るように扱われる。少年老いやすく学成り難し。この言葉の逆をいくハンスには、老いるための十分な時間があてがわれなかったように思う
読了日:10月19日 著者:ヘッセ
新釈 走れメロス 他四篇新釈 走れメロス 他四篇
いちばん森見登美彦カラーがでている(桃色というわけではなくて)走れメロスは、いかにも詭弁論部らしい立ち回りに思わず声を上げて笑ってしまいました。それよりも、桜の森の満開の下の美しさ!桜の描写に始まり、桜の描写に終わるリフレインに思わず「!」。同じことを書いても物語の最初と最後で読み手の受け取り方ががらりと変わり、怖いほどの静謐さが漂う美しい終わり方でした。稀に見る効果的なリフレインだったと思います。坂口安吾、読も!
読了日:10月14日 著者:森見 登美彦
乱暴と待機 (ダ・ヴィンチブックス)乱暴と待機 (ダ・ヴィンチブックス)
安心して観客でいられる演劇のよさは、映画化したり小説化したりするときに多少の無理を生むと思う。やっぱりこの作品にもそういうところはあって、登場人物の気持ち悪さは否めない。振り切れている感じがいかにも本谷さんらしいといえばらしい
読了日:10月13日 著者:本谷有希子
ためらいもイエス (文春文庫)ためらいもイエス (文春文庫)
二十八で初めて手にした思春期にとまどいつつも謳歌していく主人公。仕事はできて、お金もあって、地位も確立してきたけれど、恋愛を置いてきぼりにしたために親から見合いを持ちかけられる。趣味に、恋愛に、家族の問題に、遅まきながら思春期、反抗期を迎える奈津美。主人公の周りの人が優しく、時に厳しく彼女を鍛え上げてくれる。いい仲間ばかりだ!青ちゃんがいい。
読了日:10月12日 著者:山崎 マキコ
小さな男 * 静かな声小さな男 * 静かな声
小さな男の歩幅の話、静かな声の息と消息、生きることの話、それぞれとてもよかった。小さな男も静さんも会わないのだけれども、ミヤトウさんを通して通じ、深夜のラジオで通じる。うぅーん、いかにも吉田さん。そこが好き。従業員通路は通りたくないです。なんなんだ、汗をかいたような壁って笑 怖いよ…
読了日:10月10日 著者:吉田 篤弘
空ばかり見ていた空ばかり見ていた
床屋を巡る短編集?長篇?繋がり、というよりも連なりを持った作品が散らばっている。詩的な部分が拡がって沁みる。ホクトさんはいろんな時代のいろんな風景に紛れて、あらゆる人の話に登場したりする。「火の鳥」のよう。『美しさが、しばしば悲しみと共にあるのはなぜか。私はずいぶんそれを考えてきたが、またしても私は答えを出せそうにない。美しさはいつでも永遠であってほしいが、悲しみには終わりが必要になる』 いい!
読了日:10月06日 著者:吉田 篤弘
十字路のあるところ十字路のあるところ
吉田篤弘の文章は何かしら足りない、と思う部分があって、それを補完するかのように坂本さんの写真が寄り添う。写真と渾然一体となってやっと一冊の本になる。文章の迷宮、街の片隅の迷宮に見る小さな物語がちらばって、自分が見ている何気ない景色が華やぐささやかな感動。写真がモノクロなのもとてもいい。
読了日:10月01日 著者:吉田 篤弘,坂本 真典

読書メーター

 10月は12冊らしいです。結構読んだのね。お恥ずかしながら車輪の下も芥川龍之介も読んだことがありませんでした。おほほ。
 自分の好みとは別に、読んでおかなきゃならん本というものはそりゃああります。名作と言われる作品だけを読んでいったって一生じゃたりないかもしれないけれども、読書家の沽券というやつがこんな僕にもあるんです。読書家が集うと言うカフェー(奴らはカフェとは云わない)に道場破りのごとく単身乗り込んで
 「え?車輪の下を読んだことない?!」
 「は?罪と罰も?!」
 「へ?不思議の国のアリスさえ?!」
 冷笑・冷笑・冷笑・呆れきったため息・冷笑・呆れきったため息。
 いかにも奥ゆかしい差別のツボを心得てらっしゃる。
 かーえーれ!等のシュプレヒコールもない。
 帰るしかないだろう。
 
 うぅ、想像したら胃が痛くなってきたよう。 
 今月までで、今年は93冊。
 おぉ、こりゃ100いくゾ。頑張るゾ。
 打倒(想像上の)読書家コミュニティー! 
 僕は読書家コミュニティーの上座に重鎮の如くでんと構え、人一倍大きなため息をついてみたい。
 はぁー。まずい、ニヤニヤしてきた。

 あ、10月の1番は、「クラウド・コレクター」と「くまのパディントン」と「車輪の下」です。
 すみません、最近とみに2〜3冊くらい1番を選出している気がします。

Bach Ze/High Llamas



文学的音楽!
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童心
 ―旦那、おひさしぶりにいっちょどうです?
 後ろからブランコが話しかけてきた。
  そう言われてうぅーん、と考えてしまう。世間体とか自分の年齢とかを照らし合わせる。
 ―気持ちいいですよ
 そりゃあそうだろうけど。
 ―風を切って風を感じて、風になる。くぁー!いいね!
 そんなにいいものかねぇ。そんじゃあここは一つ腰掛けてみるか。
 ―ちょっと待ってくださいよ、旦那。気にくわないね。腰掛けてみるか、とは何事です。腰掛けてみるのも、腰掛けるのも、結果に於いては同じじゃないか。疑いながら、ためしに右へ曲がるのも、信じて断固として右へ曲がるのも、その運命は同じことです。どっちにしたって引き返すことは出来ないんだ。試みたとたんに、あなたの運命がちゃんときめられてしまうのだ。人生には試みなんて、存在しないんだ。やってみるのは、やったのと同じだ。実にあなたたちは、往生際が悪い。引き返すことが出来るものだと思っている
 わかったよ、わかったよ。それでは信じて乗せてもらおう!
 ―よし来た

 ということで、ついこのあいだずいぶん久しぶりに友だちと一緒になってブランコに乗ったのですけれども、これがなかなか楽しいのです。驚いたなぁ。参っちゃったなぁ。太宰治の言葉を剽窃しているブランコにそそのかされました。立ちこぎができなくなっていたことにいささかのショックは受けつつも、風とひとつになりました。ブランコ楽しい!ビバ・ブランコ!わっほーい。 
 
 久しぶりに童心に返るということでもう一つ。
 ネットサーフィンをしていたらふいに見つけてしまった懐かしすぎる「ジャンケンマン」
 ジャンケンマンとはメダルを投入してジャンケンをするという単純なコインゲーム。ジャンケンで勝てばルーレットが回って数枚のメダルが返ってくるというアレ。全国的に人気があったようなので見かけた、あるいは昔やった、という方がいるのではないでしょうか。いまやFlashゲームになってできるようになっているのです。すごいなぁ。
 ヤッピー!と聞けば「あ!!」って思い出す人もいるんじゃないでしょうか。さぁクリックしてみましょう。くだらないこと請け合いです。→ジャンケンマン
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