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警察へお世話になる前に。
 朔立木の「死亡推定時刻」という小説を3分の1ほど読み終えた。
 ふぅ。
 だめだな…と思った。もし自分が無罪の罪で警察に引かれるようなことがあったら、僕はきっとありもしない自白をぺらぺら喋ってることになるか、もし喋らなかったとしても、やってないことまでやってることになっちゃってんじゃないかと確信した。
 確かこの本、ロディさんのレヴューを昔に読んで気になっていたはずで手にしたんだった。
 まぁ、皆さんも少し知識として知っておいたほうがいいと思いますので、ちょこっとだけ書いておきますよ。警察にお世話になる際には、以上のことには気をつけましょうね。
 1・逮捕状が出ているのかどうかの確認。これがない場合、任意同行という形でしか権力を行使できないので、署へ向かうにしろ、まずは腹を満たしてからにしておいた方が無難。
 2・指紋は衣類からは検出されません。さわってもいないのに「指紋が検出された」などと向けられても焦らなくてOKらしい。
 3・日付が翌日に近づいたらいっそう気をひきしめて、諦めない。任意同行で引かれてきた場合、署内に拘置しておくことは現在の警察の権力ではできないらしいので、冤罪であれば決して諦めないこと。警察は、逮捕した被疑者を48時間以内に検察庁に送る送検の手続きをしなければいけない。それを過ぎるようであれば釈放しなければならないというから、日付変更の時間帯は、いっそう厳しい追求があると思っていたほうがいい。

 今読んだところまででもざっとこんなものです。しかしまぁ、恫喝となだめの反復攻撃と、体力の限界のことを考えると、やってないことでもやりました、と言ってしまいそうで怖い。
 ほんとにこれ、日本の警察の内部、こんな感じなんでしょうか。他の小説を読んでみても、大体がこんな感じなんですけど。
 
 話は変わって、昨日22時くらいにNHK教育テレビで白バイの女性警官のドキュメントみたいなのをやっていたので漫然と見ていた。なんでも彼女、小さい頃から戦隊ヒーローものに憧れてて、「あんな風に格好良くみんなを守りたい」と思い、警察へ入ったのだとか。 
 それでもやっぱり警察の、白バイの、女性警官なのだ。現実は厳しい。
 みんなのために、と思ってはいても、町の声は「白バイが来るとちょっと緊張する」「あんまり会いたくはない」と言ったものが多数だ。
 実際、携帯電話をしながらの運転を注意したりしても「安くならない?」とか「見逃してよ」とか言われるのだとか。今日見たのは、一時停止を無視して右折した車を停め、一時停止した、一時不停止だったの水掛け論に発展していた。女性警官も「お父さんのためなんですよ」といって切符をきろうとしても「そんなの屁理屈だ」と言われるしまつ。可哀想な彼女。
 悩んでいました、彼女。昔思い描いていた格好いいヒーローというよりも、みんなから嫌われているじゃないかと。でも、その自分の行動で1つでも命が救えるのなら良いです、というようなことを言っていたっけ。強いな〜、頑張れ!とテレビモニターに向かって応援。
 
 ん?まてよ。今日、小説で警察の酷いとこ読まなかったっけ、と思った。
 あぶねぇ!きっとこれはNHKという国営放送と地方公務員との連携プレイだ!
 やるじゃねーか、日本。懐柔されるとこだったぁ…。
 
 今日は雨なのかなー。

君は天然色/大滝詠一

ローマの休日がぴったり!すごい!
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ロマンチスト諸君、月だ!
 えみさんのブログを読んでいて「おぅ!」と興奮。あ、えみさんというのは、趣味が似ていて知り合った人です。(リンクしているので気になる方はどうぞ)
 なんでも夏目漱石が「i love you」を「月がきれですね」と訳したのだそうな。なんとロマンチックな。そこでまぁ、考えちゃうわけですよ、月について。
 理屈で通るか?と試みる。風が吹けば桶屋が儲かる方式。
 月がきれいですね→空を見上げる→焦点は遠くへ→隣の女性を見る→焦点合わず→あばたもえくぼ→きゅん。
 
 いやいや、わかっていますよ、それくらい。そういう会話ができる仲が、例えとして「月がきれいですね」ってことですよね。
 以前付き合っていた女の子との会話を思い出す。たしか、どういうメールで自分に気があるって気づいたかという話。
 そこで彼女「深爪したぁ!ってメールあったじゃない?あぁ、たぶんこの人あたしのこと好きなんじゃないかなって思った」と言っていたっけ。
 そのあとに「蚊が目に!」というメールも続いたとか。
 うーん、恥ずかしい。でも確かに、何でもないメールだけど、だからこそメールを送る相手を選んでしまう。これは無意味を装った愛情だ。彼女、よく気の付くいい人だったっけ。
 今度好きな人できたら「月がきれいですね」ってメールを送ってみよう、と思った。
 
 今日、空を見上げてみたら偶然にも月がきれいで「あ!」と思って携帯を開き、「月がきれいですね!」と打った。打ったはいいけど送る相手に困り果てて、しゅんとした。
 ちくしょう、送る人、いないじゃないか。
 「月がきれいですね!」の「!」を消し、代わりに「(笑)」を入れて、えみさんに送信。

 我輩はロマンチストである。
 返信はまだない。

 アリナミンのCMの話。相手の「疲れ」に対して「お」を付けて「様」までつけて、何気なく使ってる「お疲れ様」なのだという。それだけ労わってるってことですね。じゃ、月に対して「お」を付けて「様」までつけて、お月様にしているのは、なにを労わってるんでしょうか。世のロマンチストに利用され続けてる月への、申し訳なさからであってはほしくはないですね。
 ところで、月がきれいですね、と検索すると、意外にも多く夏目漱石の名がヒットする。結構有名なんですかね。

月影/斉藤和義
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夏の魔法
評価:
北國 浩二
東京創元社
¥ 1,785
(2006-10-24)
―さよなら、残酷な世界。わたしの人生は、もうすぐ終焉を迎える―二十二歳の老婆は、少女の頃の輝かしい思い出に満ちた南の島で、人生最後の夏を静かに過ごすはずだった。しかし彼女はそこで、逞しく聡明な青年に成長したかつての初恋の相手と再会する。劇的な容姿の変化のため、中学時代に恋した相手が目の前にいることに気づかない彼の隣には、美貌の女性が明るい笑顔を浮かべて立っていた―「魔法」は、彼女たちに何をもたらしたのか?緑濃い真夏の島でゆっくりと進行する、哀しい願いの物語。

 タイトルが気になったもので手にとった本作。登場人物はそんなに出ていないので、一見してシンプルな相関図ができあがるが、彼らを取り巻く「感情」の相関図が残酷なことこの上ない。主人公である夏希が健康であれば、このようになっていたに違いない、という人物に美しい沙耶がいて、夏希の初恋相手のヒロは、昔とちっとも変わらず、夏希のことを忘れられないと洩らす。民宿内海の息子である良介は、沙耶のことが好きだが、沙耶がどうもヒロのことを好きなのに気づいてる様子で、手も足もでない。
 自分の人生の最後に、最良の時間を見つめなおすという夏希のひとり旅は、予想以上に達成される。夏希とヒロの2人だけでも十分に物語として機能するだろうけれども、沙耶が物語に厚みを、良介が意味を与えているという点で、非常に味のある脇役だ。
 この作品のファクターを3つほど取り出すとすると、罪、美、代価じゃないだろうか。 登場人物たちは、それぞれ何かを手に入れるために、罪を犯し、代価を支払う。その代価が高すぎる者もいれば、何も手に入れない代わりに代価も支払わない者もいるし、罪も代価も高くつく者もいる。
 そしてこの物語を構成するのは起承「転転」結。無理を感じさせない展開で惹きつけ、終盤からラストまで一気に読みきった。
 他のレヴューを読んで、あまりラストを評価する向きはなかったのだけれども、そんなことはないと思う。無意味を並べ立てて意味のあるように見せかけ、ラストを衝撃にさせておけばOK、というような恣意的な作家の作品とは一線を画している。丁度良い突き放しで読者に考えを委ね、抑制が効いている。
 星は5個までしかないので5個です。もっとあればいいのですが。
 とりあえず、(かなり抑制を効かせて)最高です。
| 北國浩二 | comments(0) | trackbacks(0) |