<< 文体練習 | main | 5月2.5日 >>
スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

| - | - | - |
2音の間には(オクターヴ)
 宮下雪乃(18歳)は、元アイドル。15歳の時にデビューをしたが、売れずに地元へ戻る。そこで待っていたのは、同級生からの中傷の日々。嫌気がさした雪乃は高校を退学し、東京へ再上京するのだが、会社でもプライベートでもうまくやっていけない。―そんなある日、コインランドリーで岩井節子という女性と出会い、二人の距離は一気に縮まるのだが。 

 ふと入った漫画喫茶のふと手に取ったこの漫画が、まさかこれほど自分の気を引きつけて離してくれないとは、思いもしなかった。平たく言えばレズ漫画。だけど、夢を見てるところも、現実離れした展開も(女性同士の肉体関係を抜きにして)この話にはない。彼女たちは現実を生きて、現実の延長である未来に、期待よりも多くの不安を抱いている。
 登場人物の対比も魅力だ。雪乃が芸能活動をしていたのは4人のアイドルグループで、一人はAV女優に、一人は大学へ通い「かったるい、やめたい」と洩らし、一人は昔のアイドル時代の名を捨て、努力してオリコン1位の超人気歌手に。超人気歌手になった一人を除いて、3人でお酒を飲むシーンがあるのだけれど、あのリアルな描写は特筆ものだ。女性特有の会話で、嫌な空気を作ることに成功していると思うし、そういう会話にあんまり入りたくないのか、トイレに抜けたり、二人がしゃべってるのに一人体育座りで携帯をいじってる雪乃のワンカット。浮いてる感じ、ついていけてない表現がいいと思う。
 そして何よりいきなり肉体関係に発展したために、節子のことで悩んでばかりの雪乃。一人でいることの孤独も、人を好きになってから感じる孤独も溢れている。大好きな節子との逢瀬の時間も雪乃は泣くことが多い。知らないことばかりで、不安でしかたない、という、本来なら肉体関係の前の段階で少しは解消すべきところをすっ飛ばしてしまったので、ちくちくと後から傷つくことになる。
 同性愛を描いたものは、よく「純愛」と語られることが多いと思うが、それは性別に囚われない形而上としての愛を語ろうとする、いわゆる逆説の手法でしかない。手法は手法として定着してしまえば、因循姑息。オクターヴがそこからどう抜け出るか、節子の科白がオクターヴ2巻をより楽しみにしてくれる。

 雪乃もさ−男とセックスしてきていいよ?

 さぁ!どうでる紺野啓!君の動きに期待しているぞ。まぁ、そのまま節子さんと仲良くてもいいのだけれど。ちょっと節子さんも傷ついて欲しいなぁ、と思っています。なんにせよ、展開が読めません。あー誰かと話したいから誰か買っておくれー。

 後日談:友達にアフタヌーンを買っている人がいて、その人に「オクターヴ知ってる?」と聞いたら「あぁ、あのレズ漫画。え、あぁいうのが好きなんですか?」と聞かれて口ごもってしまった。よしてください、レズ漫画というのは。その言葉には抵抗あるくせに、内心大好きなのでした。

| 秋山はる | comments(0) | trackbacks(0) |
スポンサーサイト
| - | - | - |









http://dfne.jugem.jp/trackback/4