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生活嫌いですか?
 昨日の深夜のNHK教育で、「ひとりと一匹たち多摩川河川敷の物語」という番組を見た。小西修さんという人は、多摩川河川敷に住まう猫を撮影する写真家なのだが、多摩川河川敷の猫と付き合うということはホームレス達とつきあうことと同じことらしい。多摩川河川敷のホームレスの数は900人あまりいて、捨て猫は彼らなしでは生きていけないのだとか。
中野翠さんのコラムに、たいへん考えさせられるエピソードが載っていたので紹介したいと思う。タイトルは「生活大嫌い病」長くなるが以下本文。

 (中略)私は、この夏、地下鉄千代田線の中で目撃した、ある小事件を思い出す。
 その日、私は日比谷駅から乗り込んだのだが、夕方のラッシュの時間帯だったので、座れずに立っていた。すぐに斜め前に座っている男が目についた。時間帯からして車内はサラリーマンとOLばかりだったのだが、その男は煮しめたような色のヨレヨレのポロシャツにヨレヨレのズボンで、明らかに貧しい肉体労働者風だったのだ。
 男は偉そうに脚なんか組んでいるのだが、私にはそれは居心地の悪さをごまかす虚勢に見えた。その男の隣には、禿げ上がった額のせいか、正確にはオタフクのりんかくになっている中年サラリーマンが座っていた。
 私は、ヨレヨレ男とオタフク男との間に険悪な無言劇が展開されていることに気がついた。ヨレヨレ男の靴がオタフク男のズボンに時どきかすかに触れるのだが、そのたびにオタフク男は、神経質にズボンをはたき、ヨレヨレ男をにらみつけるのだ。
 (中略)この攻防戦を眺めていたら、イキナリ、オタフク男がヨレヨレ男の足首をつかんで邪険に振り払ったのでビックリした。
 「何だよー!」―ヨレヨレ男が大声で叫んで立ち上がったので、車内は一気に緊迫した。それまで新聞を読んでいた人も、おしゃべりをしていた人も、みんないっせいにヨレヨレ男に注目した。「何だよー!」「そっちこそ、さっきからイイ気になって」。押し問答をしているうちに、ヨレヨレ男は車内の緊迫した空気にあおられてか、オタフク男の胸ぐらにつかみかかった。
 ほとんど、同時に、周囲のサラリーマンたちはいっせいにヨレヨレ男に飛びかかり、押さえ込んだ。そのすばやさは、あとで考えると感動的なほどだった。
 電車が霞ヶ関に着くやいなや、ヨレヨレ男はホームにつまみ出された。強引に乗り込もうとする男を、手で押しのけるネクタイ軍団。その背後でジーッと見つめる私たち。
 不思議なことに突然、ヨレヨレ男は気が抜けたかのように押し黙り、棒立ちになってしまった。
 ドアに立ちはだかるネクタイ軍団の目、そして車内の無数の目。拒絶の目―それが男の脚をすくませてしまったのだろう。
 プシューッという、聞き慣れた平和な音を立てて、ドアが閉まる。すべるように電車が走り出す。
 その瞬間、呪縛から解けたように、全身を振り絞って、男は叫んだ。
 「バカヤロー!」
 遠ざかっていくホームにポツンと立っている小柄な男の姿を、私は正視できなくなった。男の声が胸をしめつけた。』
 中野翠(生活大嫌い病)

 わたしたちは生活が大嫌いなのである。「お嬢さん、赤ちゃん、学生」「老人、ホームレス、肉体労働者」前者は生活臭がないためにもてはやされ、後者は生活臭がきつすぎるために排除される、というようなことを中野翠は続けている。
 確かにそういう一面はあると思う。もし、オタフク男VSヨレヨレ男ではなくて、お嬢さんVSヨレヨレ男という構図だったらもっとわかりやすく想像してもらえるかもしれない。
 きっとネクタイ軍団は下心も手伝って、駅のホームに排除するだけじゃなく一発くらい殴っていたかもしれない。でも、それってかなりおかしいことだ。
 中野翠の生活大嫌い病というコラム、中略しているけれどもその話の枕として若者のホームレス襲撃事件を使っているのだ。大人の責任のあずかるところは大いにあるし、そういう見方が変わらなければ襲撃事件が無くなるはずもないのだ。
 ホームレスこそ美しいだなんて言わないし、そう見る必要は全然ない。だけど、しらずしらずのうちに自身のうちに浸み込んでいるバイアスは取っ払う必要がある。
 ずっと前に何かの絵画の説明に「善美一体」という言葉を見たことがある。「美しい」イコール「善」という考え方。 
 偉そうな額縁に入った偉そうにしている絵の説明に添えられたいかめしい四字熟語が真実を言うと思ってはいけないのだ。これは僕なりのバイアスの取っ払い方なのだけれども、四字熟語や自分にとって難しい言葉に出会ったらぜひともヤンキー言葉に直してよんでほしい。「善美一体」は「きれいなもんってなにを言ってもなにをやってもオッケーだよな」だ。
 これはつまり、生活臭のしない四字熟語を生活臭ぷんぷんのヤンキー言葉への変換だけれども、こういう習慣がつけばいろんなものの見方も変わってくると思うので、ぜひ皆さんにおすすめしたい。それで得た見方なり考え方に寄りかかるのもまた危険だということもお忘れなく。人は白か黒ではなく、大体がグレーですから。

人生が二度あれば/井上陽水

生活臭ぷんぷんの曲をあなたに。
| 考えごと | comments(8) | trackbacks(0) |
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私が浜松町まで通学してた時にそんな光景チョクチョクあったなー。
でも周りのリーマン軍団は完全無視してたけど。それもある意味、排除行動。


私は脳内で自動下ネタ変換だょ。

グレー以前に人間として腐りつつあります(゚∀゚)・∵
| フジワラ | 2009/03/03 9:47 AM |
フジワラ:学校浜松町だったの?リーマン多そうだねぇ。考えてみればスーツっていうのも生活臭を消すためのユニフォームっていう役割あるよな。
| たじま | 2009/03/03 10:12 PM |
グレーきたこれwww。

ほんと田島はグレーが好きだなwww。
| ケんじ | 2009/03/04 7:14 AM |
ケんじ:おお!覚えていたか!ちょっと感激。立川談志の話からそういうこと言ってるんだよね?そう、グレーが大好きというよりもグレーの正しさというのはゆるぎないところなんだろう。けど、たまに「犬を飼っている奴は全員バカだ!」と言った勇者のようになりたいなぁなんて思ったりもするんだよね。だってかっこいいじゃん。
| たじま | 2009/03/05 5:48 PM |
確かに自分の中にあるこの感覚。
そうか、生活大嫌い病なのか!
うーむ、私の場合、生活かっこよく見せたい病かも。。。
| | 2009/04/05 12:24 AM |
?さん:!!生活かっこよく見せたい病!!そっちのほうが僕もしっくりきます。嫌い、というのとはちょっと違いますね。恥ずかしさのセンス、というのが重要でしょう
| たじま | 2009/04/07 11:16 PM |
?さんになっていることに今気がつきました〜
失礼しました。。。
| りんくす | 2009/04/08 3:55 AM |
りんくすさん:どんまーい!でも、語尾に「・・・」の3点リーダーじゃなくて「。。。」でなんとなく「りんくすさんでは・・・?」と思ってました。クセってどうしても出ますよねぇ。
| たじま | 2009/04/08 8:30 PM |









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