<< 旧き良き時代って、どう? | main | 金沢旅行 >>
スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

| - | - | - |
あたらしい自分はつくれないのか
  「私はまだ子供だし、結婚がどういうものかなんて知らない」と笠原メイは言った。「だからあなたの奥さんがどういう気持ちで他の男の人とつきあって、あなたを捨てて家を出て行ったかなんてもちろんわからない。でも今の話を聞いた限りではね、あなたはそもそもの最初からちょっと間違った考えかたをしていたような気がするの。ねえ、ねじまき鳥さん、あなたが今言ったようなことはだれにもできないんじゃないかな。『さあこれから新しい世界を作ろう』とか『さあこれから新しい自分を作ろう』とかいうようなことはね。私はそう思うな。自分ではうまくやれた、別の自分になれたと思っていても、そのうわべの下にはもとのあなたがちゃんといるし、何かあればそれが『こんにちは』って顔を出すのよ。あなたにはそれがわかっていないんじゃない。あなたはよそで作られたものなのよ。そして自分を作り替えようとするあなたのつもりだって、それもやはりどこかよそで作られたものなの。ねえ、ねじまき鳥さん、そんなことは私にだってわかるのよ。どうして大人のあなたにそれがわからないのかしら?それがわからないというのは、たしかに大きな問題だと思うな。だからきっとあなたは今、そのことで仕返しされているのよ。いろんなものから。たとえばあなたが捨てちゃおうとした世界から、たとえばあなたが捨てちゃおうと思ったあなた自身から。私の言っていることわかる?」

 ねじまき鳥クロニクル-第2部-
| ドッグイア | comments(0) | trackbacks(0) |
スポンサーサイト
| - | - | - |









http://dfne.jugem.jp/trackback/135