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世界のフラワーロード
2009.07.08 Wednesday
高校1年の頃に初めて中村一義の「ERA」を買ったのだ。それは衝撃的だった。いや、衝撃的、とは違う。突き動かすほどのものではなかった。感動、というほどノスタルジーでもない。うまく言い表せないけれども、それは魔法にかかったようだった。瞼をゆっくりとじて、またゆっくりと開けるとき、見ていた風景がほんの少し華やぐ。目を閉じなくても見ている風景と少し違う風景が想起される、そんなささやかで小さな魔法。僕はとり憑かれたように毎日毎日飽きもせず聴いていた。 歌詞がいい、と言われるアーティストや、楽曲が取りざたされるアーティスト。中村一義はそのどちらのカテゴリにありながらも矛盾している気がしてならない。 実際歌詞は聞き取りにくいし、「金字塔」や「太陽」のアルバムは宅録で音もこもっているし、演奏も拙いものが多い。だけど良いのだ。だから魔法なのか。 100sになって一番変わったのはドラムの音だと思った。少しもたつく中村一義自身のドラムの音が消えてから、僕の中でなにかが褪せた。音の幅が拡がると、いよいよ聴く回数が減った。音楽は不思議だと思う。 今回のアルバム「世界のフラワーロード」は、音の幅もドラムの音も100sでありながらも中村一義の色を彷彿とさせる一層不思議なアルバムだと思った。想起する風景が懐かしいのに、音が新しい。「魔法を信じ続けるかい?」はおもわず歌詞にニヤリとしてしまう。「そりゃそうだ」も「モノアイ」もシングルカットされていて、既に耳にしているのに良さが際立つ。名文が文脈に埋もれてなお光るのと同じように。 アルバムを通して聞いた後、全肯定というよりも、オノ・ヨーコの「YES」のような、声もない頷くくらいの優しい肯定が迎え、包み込まれる。しばらくこの風景を堪能する日々が続きそうだ。 モノアイ/100s ハイファイ新書
2009.01.07 Wednesday
1:テレ東2:地獄先生3:ふしぎデカルト4:四角革命5:品川ナンバー6:学級崩壊7:さわやか会社員8:ルネサンス9:バーモント・キッス 全部で9曲。今のところのお気に入りはさわやか会社員。 メガネは顔の一部じゃない あなたはわたしの全てじゃない 恋するだけが乙女じゃない 素直なだけがいい子じゃない (さわやか会社員) 前作、ベースが前面に出ている感じがあったこのバンドだったけれども、ギターとヴォーカルが牽引しているような印象がある。ベースの人(男)が歌詞を書いているというのがちょっと信じられないというくらい、ヴォーカルの声にこの歌詞はすばらしくマッチしている。ぜひぜひライブで一度お目にかけたいバンドである。言葉遊びにNHK教育のみんなのうたっぽさがあり、歌詞がすぐに耳に残るので一回通して聴けば、もう口ずさめる。 わたしもうやめた 世界征服やめた 今日のごはん 考えるのでせいいっぱい もうやめた 二重生活やめた 今日からは そうじ 洗濯 目一杯 (バーモント・キッス) あなたの財布に2300円の余裕があるとき、ぜひ買って欲しい。少なくとも2400円以上には楽しませてくれるはずである。(誉めてますよ、これ) ※mixiのキーワードランキング、本日9位ですよ、相対性理論。頑張ってんだ。
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