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田辺さん、結婚。
メールのタイトルが『二次会のお知らせ』だからすぐに気付いた。
高校からの友達である田辺さんからのメール。
高校1年の頃だけだけど、同じクラスだった同級生。

不思議なもので、会社の5年同僚をやっていて挨拶だけする人なんかよりも、ただ1年間の高校の友達のほうが色んな話ができるように思う。大人の5年は学生時代の1年に劣るなぁ。
でも、だからといって大人が学生に劣るとは思わない。学校、家だけが世界のぜんぶだった時よりも遥かに話題は増えているし、それなりにずる賢くなって適当な距離感で話ができる。マジな人間関係の濃密さが息苦しかったというのもある。

最初のクラス、最初の班は名前の順。田島と田辺は同じ班になった。
喋るとき、あんまり自信がないのか伏し目がちに喋る人。そのくせブラックジョークがわかる人で、人の悪口を俺が吹き込むと、たしなめるどころかひとつ上をいく返しが面白かったっけ。笑いのツボが似ているからか、すんなり仲良くなれたように思う。

二次会の会場は六本木。
高校の友達とテラス席に座って勝手気ままに近況報告しあったり「すごい規模の二次会だね」「めっちゃお金かかってそう!」「こんなに人呼べる?自分の結婚式で?」って下衆な話をしていたり。
食事がすごくおいしかったんだけど、隣の店から常にそら豆を煮てるような匂いが漂ってきて笑っちゃった。自分が食べてないそら豆のくささったらないね。それさえ笑いにしちゃえば話の肴。
とても寛いだいい会だったな。

裕子さん、結婚おめでとう。
あの優しそうな旦那さんならきっと裕子さんを大事にしてくれると思います。
飯尾裕子に幸あれ!


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金沢旅行
  5月1日から3日までの2泊3日で金沢に旅行してきた。
 ゴールデンウィークが10日間もあると、この期間に行かなきゃいつ行くんだって気持ちになっちゃうしね。
 事前にあれこれ調べておく時間もなく、向こうで新谷さん(自分と彼女の唯一共通の友人)と会うアポだけとりつけとにかく新幹線に乗り込んだ、という感じで旅行は始まった。

 5月1日:金沢到着がだいたい19:30くらいだった。その日は小雨がぱらついていて、観光はせずに駅前のショッピングビルに入った。本屋に入って、洋服を見て、コーヒーを飲んで、それからホテルに移動した。
 夕ご飯を食べに行くために外に出て歩いていると、向かいから歩いてきたお兄さん。「買っていきませんか、ワッフル」と、唐突に路上販売が始まって、その唐突さがなんだか好感持てて、いや、たぶん「これぞ旅行」的なものを内心求めていた自分はそれに応じてワッフルを買った。お兄さんは驚いていた。まさか買う人がいるなんて・・・。ワッフル1個250円也。
 夕食は、海鮮を食べさせる居酒屋のようなところで食べた。自分の声は人の声と比べて通らないので、あんまりがやがやしていると会話が困難になるから、落ち着いたお店がよかったんだけど、金沢に来たのなら是非とも海鮮を食べたかったしOK。さすがに出てくる魚は新鮮でおいしかったな。最後に食べたイカのホイル焼きが、思いのほか口にずっと残ってしまったのには辟易したけど・・・(歯磨きしても抜けないイカの匂い・・・)

 5月2日:朝風呂を入りに泊まっているホテル提携の大浴場へ。露天風呂が売りのところで敢えて室内の浴槽に入る。開放感は、頭の上よりも人との距離で感じていたいのでした。


さあ兼六園へ行くかー、と乗り込んだバスは反対方向へ・・・。
いや、俺は犀川が見たかったんだよ。ほらーいい景色。少し曇ってるけど。
朝見ていたテレビで、「俗説ですが、トラベルの語源はトラブルからきているという説があるみたいです」と言っていたっけ。タイムリーすぎ。 
兼六園到着。すっかり日もでてきて、平日というのもあるけど空いている。
苔の匂いがたまらん。濃い緑だけが出せる酸素がある。そんな気がする。


21世紀美術館へ移動。るるぶにこんな絵があったので真似てみる。
金沢人にバカにされないかと内心びくびく。

お昼に食べた海鮮丼。う、うまい。


昼食後、新谷さんと合流して茶屋街に連れていってもらった。
OH、ジャパニーズ町家〜。ハラキリ〜。
腹は切らないかわりにアイス最中を食べた。

夜になり、もう一度21世紀美術館へ行って、せせらぎ通りにある落ち着いたお店で夕ご飯を食べた。スタバでコーヒーを求めて、寒い中新谷さんをバス停まで送った。アラサー男の皮脂を含んだカイロを渡して別れた。この日は夜からほんとに冷えたなあ。

 5月3日:なんの予定もないし、何時ごろ帰ろうかも決まっていない。自由な日が始った。それにしても大荷物を持ったままうろつけないから、とりあえず駅のロッカーに荷物を預けなくちゃね。

金沢駅は高校生の吹奏楽の演奏をしていた。ロッカーはあったんだけど細かいお金がなくて、ずいぶんうろうろしてしまった。

 昨日歩いたせせらぎ通りにあるお店が気になると言うえみさん。いいねえ、そうやって思いつきで予定を埋めていきたいのよ、今日は。

ラリーというお店で小さい髪飾り(自分がおじいちゃんみたいだ)を買ったみたい。

せせらぎ通りから1本脇道に入ると、武家屋敷の通りにでた。
ワークショップで加賀棒茶の試飲、和菓子屋の前で試食。
無料のティータイムが実現。ミラクル。

新谷さんの言うところの、石川県民のソウルフード、8番ラーメンを食べに行った。
迷子になりながら、言われていた店舗とは違う店舗になったけど、なんとかありつけた。
いっぱい歩いたからラーメンがおいしいぜー。

お腹がいっぱいになったら目の前に広がる芝生に寝転がりたいと思うのが人間である。
と言ったのは俺だっけ?実践するしかないでしょうな。

ということで、約30分くらい芝生に横になってから、金沢を発つ。
最後に横になれたってだけで「いい旅行であった」といえる。


向こうに見えるホテルに泊まったんだなー。狭かったー。安かったー。


帰りの特急車内。旅費の清算。約5万円の旅になったみたい。

たまには旅もいいもんだ。
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ワニワニパニック
 毎週のように行く公園で、いったいどういう流れだったか、えみさんが「もう怒ったぞ」と言った。
「ワニワニパニック?」
「そんなつもりじゃないけど。懐かしいね。今度ワニワニパニックをやりにゲームセンターに行こうか」
「やだ」

 ふと空を見て思う。
 この世界のどこかで「もう怒ったぞ」と言っているプラスチックのワニのこと。
 僕の時間とは関係のないところで流れているもうひとつの時間を想像するのに、感動的な情景である必要はない。

 最近感情が切ないほうへと流れていこうとするのはきっと、歳のせい。やわらかく表現すれば大人になったということなのかな。
 でも僕は不満を抱えた人でありたいと思う。不満を持っている人には贅沢すぎるって怒られちゃうかな。
 でもね、僕にはあなたがどうしようもなく輝いて見えるのです。

 
Radiohead/Fake Plastic Trees

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6月27日
6月27日。
タクヤと遊ぶのだ。
自分の車を預けていたので代車でこれから取りに行ってから、それから会おうという。
ふうん。事故ったかな?車検かな?
答えはシートの張り替え。
革にしたのだとか。
しきりと「ラグジュアリー感が」と言っていてうるさかったのでうるさいと伝えた。
伝えたらいっそう「ラグジュアリー感が」とか言う。
うっさいよバカわかったよお前のそういうところ好きだよ。

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夕ご飯
『この世につまらない風景なんてない。つまらない見方があるだけだ。』

ふと思い付いたので言ってみたのだが、それは家族との夕飯の時間だった。もぐもぐしているみんながひとしきり僕を眺めてからまた食事に戻っていく。もぐもぐもぐもぐ。
しばらくしてから「どしたん?」と姉が言う。
いや、そう思ったから言っただけ、と僕は言う。
「なんの本?」
とんとん、と頭をたたく。オリジナルです。
「あんまり外でそういうこと言うなよ」と姉が言った。
わかってるよー、大人だよ、27歳だよ。
「大人は財布をしょっちゅう落としたりしないの」
と、これは母。
ですよね。ははは、気をつけます。
今度落としたらますます言われちゃうな。もぐもぐもぐ。
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やまざきひなた
  先月まで出張で石川県へと行っていた。出張中はホテルや民宿などに泊まることになり、その日は1日だけ予約がとれず、少し遠くの民宿に泊まることになった。
 フロントで鍵を受け取り、部屋へと向かう階段で、後ろをついてくる女の子がいた。気にせず部屋へと向かい鍵を開けて中に入る。女の子もするりと入ってきた。
 「…どうしたの?」
 「あ、この部屋布団が二つある。よかったね。二つ並べてごろごろーって寝られるね。暑くないよ」
 「そうだね・・・えー・・・名前は?」
 「やまざきひなた」
 「歳はいくつ?」
 「6歳」
 「小学生の、1年?」
 「今年入ったの」
 「そっかー」

 困った。会話が続かない。僕が泊まったのが「民宿やまざき」だから、この子はそのうちの子だろう。会話を無理に続ける必要もないか。どうせ自由な子どもなんだし、こちらも自由にやらせてもらおう。
 スーツケースから衣類を出してハンガーにかけたり、洗面道具や本を出した。

 「この本、みていい?」
 「いいよ」
 「この本、字、小さいやつ?あ、小さいやつだ。すごいね〜読めるの?」
 「読めるよ」
 「すごいなあ〜えらいなあ〜」

 お恥ずかしながらうれしかったのでした。
 階下から、ひなーと呼ぶ声が聞こえた。呼んでるよ、と言ってもリラックスしだしている。ほーらーよんでるよーって少し追い掛け回したらきゃはーって笑い、ドアをばたーんってやってどたどた降りていった。
 夕飯は近所のスーパーでお寿司を買ってたべた。民宿を出る前に、やまざきひなたが手を振っていた。僕も振りかえした。まだ日が出ていたからそう遅くない時間だったと思う。
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6月26日
 小雨が降ってきたので公園から喫茶店へ移動。
「いらっしゃいませー」と、ドアを開けると威勢のいい声に気後れする。
喫茶店には珍しい愛想のよさ。
「それ、俗に言うパソコン?」
机の上に出したポメラを見た店員が、ものめずらしそうに声をかけてきた。
俗に言うって・・・パソコンが俗世に出てからずいぶん経つけれど・・・。
「ええと、パソコンというよりも小さいワープロ、ですね」
「ふうん、それならあたしでも使えるかなあ」と彼女は言った。
注文をしたコーヒーが運ばれてくるときに
「ぼくは打つのが早いなあ」って大きな声で心底感心した風に声をかけられた。
「え?えへへ・・・」
人に「ぼく」なんて言われるのはそう無い経験。
ついこの間27歳になったんですよ。
彼女の見た目は人好きのするもたいまさこといった感じ。
お店の中で一番大きい声でしゃべるのは彼女だった。
ほかの客は遠慮して静かに語り合っているように見えた。
店内は、彼女の声と、小さく喋る客と、それよりも小さく流れる音楽と、
小雨の中を通り過ぎる車の尾をひくタイヤの音。
お店にいた約2時間の間にコップの水は3回取り替えられた。

落ち着かない喫茶店が好きになったのは初めてのことだった。





DOWN TOWN/シュガーベイブ
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世界でいちばん幸せな公園
 今年に入ってからよく会うようになった友達がいる。
 浅く広く付き合うことができない自分にとって、暇をもてあましている人は絶好の手合いで、休みのたびに会う。卓球をして遊ぶ。夕ご飯を食べる。公園で寝転ぶ。
 なんだか「るるぶ」みたいだけれども、「寝転ぶ」だけは、ガイドブック「るるぶ」も扱わないだろう。それだけ地味で、人気はないかもしれない。
 あるとき2人で居酒屋から出て、散歩がてらにふと寄った公園で、寝転びたいなぁ、とつぶやいたら意外にも食いついてきた友達。その日から昨日まで、4度公園で寝転ぶだけ、という遊びとも言えない遊びをしている。
 4度繰り返すと、互いに「寝転び」の経験値があがって、毛布や枕を持ち込んだりしている。コンビニで少しお菓子を買って、飲み物を買って準備万端。自販機が近くにあれば、たまに暖かい飲み物を買ったりとか。
 何を喋るでもなく、お互い黙ったまま夜空を見ている時間が長い。頭の向こう側でちいさく車の通る音。風が渡ると葉のこすれる音。足元には水の流れる音が聞こえてきて、眠気を誘う。寝たっていいし、喋りたいときにだけ喋ればいい。喋らなくても沈黙なんて気にならない。深い話をするでもなく、かといって無意味と思えるギャグを言ったりもしない。寝転がっていると、不思議と喋り方がゆっくりになる。ため息が多くなる。笑う回数が少し減る。
 それはあまりいいことではないかもしれない。笑う方がいいのだろうし、明瞭に明るく喋った方がいい、と言われている。言っているのは世間で、お互い世間から離れるために公園に来ているのだから、どうだっていいのだけれど。
 ため息をつくと幸せが逃げていくなんて誰が言ったのだろう?ここではため息のたびにどうしたって「幸せすぎるねぇ」って語尾が延びて、少しニヤける。
 隣で寝転んでいる友達が「たじま君が結婚したら、こういうことできなくなるのかなあ」と言う回数が最近増えてきたように思う。
 まだ日が出ている時間、卓球をやっていると、隣の台で遊んでいた家族連れの球がとんできて、僕はお父さんらしき人に球を手渡した。その時目にした手が、大きさ、形、なんだか全てが「お父さんの手」だった。
 手袋を取って自分の手を見ると、まだまだ公園で寝転がっていられる手だと思った。
 まだ平気みたい。
 遠くに見える人家の灯りが愛しくなったころ、ちょっとだけ元気をもらってそれぞれの家に帰る。それを繰り返すこと4度。流れ星1回。
 


 
 
 
 
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鬼からの質問
  僕はパソコンで音楽を聴くときにiTunesを使っているのだけれど、立ち上げるたびに『新しいバージョンのiTunes(9.2.1)を利用できます。今すぐダウンロードしてもよろしいですか?』と尋ねられる。
 そのウィンドウには『次回から確認しない』のチェックボックスと、『新しいiTunesをダウンロードする』と『ダウンロードしない』の3つの選択肢が出てくる。
 僕は毎回右上の隅の×ボタンで閉じる。
 ダウンロードする気はないけれど、『次回から確認しない』のチェックボックスにチェックを入れる勇気もない。
 もしもチェックボックスにチェックを入れたその後にバイオリズムとか星の運行とか気圧とかの関係でダウンロードしたい日がきたとして、果たして僕は正しい順序で正しいiTunesをダウンロードできるのだろうかと不安になる。
 一度きちんとお断りしたことによってへそを曲げてしまったiTunesが、ヤクザなiTunesならないという保障はどこにもないのだ。
 しかも、「〜してもよろしいですか?」だなんて、相手は更新したいみたいな雰囲気だ。
 僕は逃げ道を×ボタンで確保しておきたい。
 断ったわけじゃないんだ、気付かなかっただけなんだよ。

 女の人の中には怒ると敬語になって詰め寄るというタイプがいるらしい。おそらく僕はその現象をパソコンを通じて見ている。
 
 ダウンロードしてもよろしいですか?
 ×
 ダウンロードしてもよろしいですか?
 ×
 ダウンロードしてもよろしいですか?
 ×
 ねえ、ちょっと、いい加減にしてよ。いったい何回へりくだって敬語を使って尋ねればいいわけよ?煮え切らないのよ。あなたっていつもそう。見ないふり見ないふりで何でもかんでも先延ばし先延ばし。いい加減いらいらするのよその態度。少しは男らしくびしっと決めなさいよ。ダウンロードするの?しないの?
 ×!

 iTunesの中に鬼を見た。
 鬼が敬語で尋ねてくる!
 
 ダウンロードしてもよろしいですか?


Miniature Birds/Grand Archives

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シソとかカレー・イン・ハンバーグとか県道とか国道とか
「だから国道出ちゃ危ないんだって!絶対に事故るよ!?」
「いや、県道もいいのは分かっちゃいるんだけどね、ラクだし。ただ、国道走ったことあるから、そこに戻りたくって仕方ないんだよ。楽しかったっていう思い出もいっぱいあるから」
「だめだよ、たじまくん、そんなんじゃシソみたいになれないよ!?」
「カレー・イン・ハンバーグもいいなって思っちゃって…」
「ダメダメダメ、そんなの絶対似合ってないって。やっぱりシソだよ!あるいは冷やし中華に入ったからし!中途半端だとさっき食べた気の抜けたシソみたいになっちゃうよ!?ガッカリしたでしょ?思い出して!」

 深夜0:00頃のファミレスでの伊東さんとの会話はおおよそこんな感じだった。お互い話がよく通じるので「国道」「県道」「シソ」「冷やし中華に入ったからし」「カレー・イン・ハンバーグ」等の比喩についての説明はなくてもよかったのだけれど、ブログに書くので一応説明させていただくと、いわゆる「リア充」にまつわる単語に「国道」「カレー・イン・ハンバーグ」等が入る。人生のメインストリートを闊歩し、道に迷うことの無い国道。どこへ行くにも最短距離を最速で走る。合目的的で理に適っている。お腹が空いたら好きなものを食べればいいさ。たとえば、カレーとかハンバーグとか。
 カレー・イン・ハンバーグとは、たまたま座った席にフェアメニューとしてデカデカとおすすめをしていた商品だった。
 僕も伊東さんも、人生「県道」でしょう、という人なのだが、僕は頑張りをみせてたまに国道を走ったりするので、それを聞いた伊東さんは抜け駆けが許せないのか、あるいは裏切られた感じがするのか、県道を、あるいはシソを、またあるいは冷やし中華に入ったからしを持ち出してはいかに自分たちに与えられた役割が重要なのかを力説するのだ。

「大体たじまくんタバコ吸うのってのがおかしいじゃない」
「そう、これは国道を走った名残みたいなものなんだ」
「そうやって頑張っちゃうとあの不味いシソだよ!ところであれ、ほんとびっくりしたよね」
「したね。あれだけお互いシソのことを褒めて、たった一枚のシソをわざわざ半分に割って食べて、あの不味さだもんね。いや、それよりも伊東さんだって同じ美容室2回行ったじゃないか!違う美容室を求めてまたジプシーのようにさ迷えばいいんだ。人と仲良くするってのは国道へと続く曲がり道だよ!?危ない危ない」

 他にも夏って季節そのものが国道のための季節だよねとか、彼氏が「スノボ行く」って言ったときは正直カチンときたけど「スキー行く」だったら素直に見送れたかもしれないとか、バーベキューってB・B・Qって書くんだよ?・・・ひぃー!って、互いに二の腕を抱いて震えたりした。お互いの偏狭さを見せ合ってはげらげらいっぱい笑ったような気がする。
 どちらからともなく結婚って絶対ムリだよね、という話がふいに挙がった。
 ね、とどちらかが言った。
 午前の1:00を過ぎたので、伊東さんと別れ、酔い覚ましに僕は一人で公園への道をてくてくてくてく歩いた。歩きながらふと、ひとつの詩を思い出した。国道に憧れるけど、県道でさびしくて、本当に人恋しくなる詩だ。穂村弘の「あした世界が終わる日に」

あした世界が終わる日に
一緒に過ごす人がいない
あした世界が終わる日が
夏ならいちごのかき氷
舌をまっかに染めながら
輝く雲を見ていたい

あした世界が終わる日に
一緒に過ごす人がいない
あした世界が終わる日が
冬ならメリーゴーラウンド
つやつや光る馬たちの
首を抱えて廻りたい

あした世界が終わる日に
一緒に過ごす人がいない
あした世界が終わる日が
今日なら蝶のアロハシャツ
汗ばむような陽炎の
駅であなたと出逢いたい


−あした世界が終わる日に/穂村弘(求愛瞳孔反射)


本当にあした世界が終わるなら、僕はきっと自我を捨て、思い切って思い切って、夏ならいちごのかき氷を選べるだろう。忘我の境地で至れる国道へ。事故などもう、怖くはないのだ。
ただ、やっぱり本当にひとりなら、だれかを誘えないなら、駅で誰かを待つ。

僕は行田市駅のロータリーにいる。
向こうから誰かが、おーい、って言ってくれる。
僕の他に人のいないことが確認できたら、きっと、おーいって返事ができる。
嬉しさで声が震えなきゃいいけれど。

Hello Goodbye/The Beatles


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