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クリスマス・ラテ
 ついさっき記事を投稿して、そしてふと見返してみたらあらまあなんてことでしょう!連続して「クリスマス」の単語が。
 うーん、わたくし反省いたしました。もう今年は「クリスマス」の単語は封印させていただきます、とはまだ言えないのです。だって、まだ、穂村弘の「クリスマス・ラテ」を紹介させていただいてないのですから。この「クリスマス・ラテ」ってのは穂村弘の『本当はちがうんだ日記』に所収されている話なんだけど…
 あぁもう、これから「クリスマス・ラテ」を紹介するってときに田島の文章が邪魔になりかねないのでもうここらでやめておきます。では皆さま、楽しいクリスマスを。

クリスマス・ラテ 穂村弘

スター・バックス・コーヒーで、タゾ・チャイ・ティー・ラテのショートサイズ(シロップ控えめ)を飲みながら、ぼんやり将来のことを考える。
将来、何になろう。
どこに住もう。
誰と暮らそう。
何をしよう。
そこで、ふっと思い出す。
あ、もう、今が将来なんじゃん。
俺、41歳だし。
何になろうってのは、総務課長になってるんだし。
どこに住もうってのは、18歳のときとおんなじ町のおんなじ家のおんなじ部屋に住んでるんだし。
誰と暮らそうってのは、70過ぎた両親と3人で暮らしてるんだし。
何をしようってのは、スターバックスでタゾ・チャイ・ティー・ラテのショートサイズ飲んでるんだし。
シロップ控えめだし。
そうか、そうか。
考えなくてもいいんだ、もう。
将来のことなんか。
もう21世紀なんだ。
世界が滅びるって云ってたノストラダムスの予言も4年前に終わったし。
何にも起きなかったし。
最悪8万人の死者が予想されるって云ってた2000年問題も3年前に終わったし。
何にも起きなかったし。
鉄腕アトムが生まれるって云ってた2003年ももう終わるし。
何にも起きなかったし。
そうかそうか。
今が将来なんだから、僕は将来の心配なんてしなくていいんだ。
もう老眼だし。
足がもつれるし。
肩がよく回らないし。
モーニング娘。名前は知ってるけど見たことないし。
ゴールデン・ハーフもキャンディーズもピンク・レディーもどこかに消えて、いつのまにか辺りはすっかり21世紀なんだ。
つんく♂、ってなんなんだろう。
えーと。
それで、僕は。
何をやってるんだっけ。
ああ、そうか。
ネクタイ締めて総務課長でタゾ・チャイ・ティー・ラテなんだ。
シロップ控えめなんだ。
あ?
クリスマス・ツリーだ。
ああ、そうか。
もうクリスマスなんだ。
大きいなあ。
綺麗だなあ。
21世紀にもクリスマス・ツリーがあってよかった。
光っててよかった。
今年のクリスマス、どうしようかな。
奥さんいないし。
子供いないし。
恋人いないし。
お父さんとお母さんと3人で炬燵(こたつ)で不二家のケーキを食べようかな。
「おまえ、将来何になるんだい?」
いやだなあ、お母さん、もう今が将来なんですよ。
それから一人で町に繰り出して、スターバックスでクリスマス・ラテを飲もう。
クリスマス・ラテはクリスマスだけの特別な飲み物なんだって、ここに書いてある。
スターバックスに行けば、見たこともないけどモーニング娘。みたいな店員が、
こんにちは、って笑いかけてくれるだろう。
いつもは緊張して曖昧に頷くだけだけど、クリスマスだから僕もにっこりしてみよう。
僕の笑顔を見るのは初めてだろう。
「いらっしゃいませ、こんにちは」
こちらこそ、こんにちは。
クリスマス、おめでとう。
きみたちは将来何になるんだい?
僕は今が将来なんだよ。
つんく♂、ってなんなんだい?
ああ、きみたちも何か飲みなさい。
僕は冬のボーナスが1.8ヶ月出たからね。
ご馳走しよう。
クリスマス・ラテがいい。
クリスマスだけの、特別な飲み物だ。
みんなで、飲もう。
大きなツリーを見上げながら。
クリスマス・ラテ。
シロップたっぷりで。
メリークリスマス。
クリスマス、おめでとう。





| 穂村弘 | comments(2) | trackbacks(0) |
Generals And Majors
  日記を書かなくなって幾日か経ちましたが、ひっそりと復活しました。ゆるゆると書いていくつもりですので、これからもよろしくお願いします。
 うーん。

 まぁそんなところ。

 ついこの前えみさんのブログで紹介していた、穂村弘の「にょっ記」からの引用を。

 ジャニーズ

  今からジャニーズの一員になることがあるだろうか、と考える。
  おそらく、その可能性は限りなくゼロに近い。
  だが、ゼロではない。
  記者会見のフラッシュを浴びながら、入団(?)の挨拶をするところを想像する。
  「最年長です」と私は恥ずかしそうに云った。
  「アニキ」とキムタクが云った。
  「いや、芸能界では君が先輩だから」と私は云った。


 素晴らしいと思った。本を買いに行くだけにとどまらず、ネットの語源由来辞典で「素晴らしい」を調べてみたほどに。
 どうやら近世江戸では「ひどい」「とんでもない」という意味で素晴らしいという言葉が使われていたとか。あながちこれに関しては「ひどい」「とんでもない」という意味でも当てはまっちゃうなぁ、と思った。46歳のおじさんがジャニーズになったとしたら・・・って妄想してるんだから。
ひどい。とんでもない。
 
 穂村弘の妄想力はとどまるところを知らない。もう一個。

  


  散歩の途中で何匹も猫をみかける。
  遠くからは猫にみえても近づくと意外に大きくて虎、っていうのが混ざってたら、こんなに気楽に散歩なんてできないんだろうな、と思う。
  ローソンやデニーズに行くのも命懸けだ。
  今日のはみんな近づいても猫だった。

  ひどい。とんでもない。
  でも、でもね、ときめいちゃって仕方ないんですよ!あぁ、駄目になっていく、と思いながらも穂村弘の世界から抜け出せないでいる。
 
 そういえば峯田和伸の「恋と退屈」のあとがきにいいことが書いてあった。今手元にないのでうろ覚えだけれど、『もっと退屈でいたいと思う、もっと恋がしたいと思う。
退屈だから恋がしたいのか、恋がしたいから退屈でいたいのか・・』と峯田さんは自問しているんだけれども、これにはちょっとした真理があるんじゃないかと思っている。  なるほど、僕が「駄目になっていく」と直感するのは、退屈になる!という焦りに近いものなのかもしれない。でも、恋をする気持ちの原初が退屈であるなら、あながち悪いことでもないのかもな、と思う。

 だからいいや、もういいや。にょっ記を買ったその日、併せて買った「やめられない心理学」(文春新書)は読まなくても。冷静になったらね、終わりですよ。
 退屈の。
 恋の。


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