3月24日、雨上がりから夕暮れまで
 

駅に着いたときには、小雨がぱらついていたのに。



あの架橋を渡る電車に毎日乗っているわけで。



空を映しこんで俺も写る。どうにも間が抜けてます。



右はゴルフ練習場。左はサッカーコート。奥が荒川。



靴の泥汚れが気になり始めたりする頃合い。



あの煙突の煙に一度は騙されて消防車を呼んだことはもう思い出。



仕事柄、鉄骨は気になります。空も気持ちのいい色。



ゆっくりと夕暮れに向かい始める坂道。



いつもお世話になります。岩淵水門。



この時間、空の色はめまぐるしく変わっていってしまう。



最後の一瞬。あー・・・



今頃ブラジルを照らしているのかな。

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ワニワニパニック
 毎週のように行く公園で、いったいどういう流れだったか、えみさんが「もう怒ったぞ」と言った。
「ワニワニパニック?」
「そんなつもりじゃないけど。懐かしいね。今度ワニワニパニックをやりにゲームセンターに行こうか」
「やだ」

 ふと空を見て思う。
 この世界のどこかで「もう怒ったぞ」と言っているプラスチックのワニのこと。
 僕の時間とは関係のないところで流れているもうひとつの時間を想像するのに、感動的な情景である必要はない。

 最近感情が切ないほうへと流れていこうとするのはきっと、歳のせい。やわらかく表現すれば大人になったということなのかな。
 でも僕は不満を抱えた人でありたいと思う。不満を持っている人には贅沢すぎるって怒られちゃうかな。
 でもね、僕にはあなたがどうしようもなく輝いて見えるのです。

 
Radiohead/Fake Plastic Trees

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6月27日
6月27日。
タクヤと遊ぶのだ。
自分の車を預けていたので代車でこれから取りに行ってから、それから会おうという。
ふうん。事故ったかな?車検かな?
答えはシートの張り替え。
革にしたのだとか。
しきりと「ラグジュアリー感が」と言っていてうるさかったのでうるさいと伝えた。
伝えたらいっそう「ラグジュアリー感が」とか言う。
うっさいよバカわかったよお前のそういうところ好きだよ。

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夕ご飯
『この世につまらない風景なんてない。つまらない見方があるだけだ。』

ふと思い付いたので言ってみたのだが、それは家族との夕飯の時間だった。もぐもぐしているみんながひとしきり僕を眺めてからまた食事に戻っていく。もぐもぐもぐもぐ。
しばらくしてから「どしたん?」と姉が言う。
いや、そう思ったから言っただけ、と僕は言う。
「なんの本?」
とんとん、と頭をたたく。オリジナルです。
「あんまり外でそういうこと言うなよ」と姉が言った。
わかってるよー、大人だよ、27歳だよ。
「大人は財布をしょっちゅう落としたりしないの」
と、これは母。
ですよね。ははは、気をつけます。
今度落としたらますます言われちゃうな。もぐもぐもぐ。
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やまざきひなた
  先月まで出張で石川県へと行っていた。出張中はホテルや民宿などに泊まることになり、その日は1日だけ予約がとれず、少し遠くの民宿に泊まることになった。
 フロントで鍵を受け取り、部屋へと向かう階段で、後ろをついてくる女の子がいた。気にせず部屋へと向かい鍵を開けて中に入る。女の子もするりと入ってきた。
 「…どうしたの?」
 「あ、この部屋布団が二つある。よかったね。二つ並べてごろごろーって寝られるね。暑くないよ」
 「そうだね・・・えー・・・名前は?」
 「やまざきひなた」
 「歳はいくつ?」
 「6歳」
 「小学生の、1年?」
 「今年入ったの」
 「そっかー」

 困った。会話が続かない。僕が泊まったのが「民宿やまざき」だから、この子はそのうちの子だろう。会話を無理に続ける必要もないか。どうせ自由な子どもなんだし、こちらも自由にやらせてもらおう。
 スーツケースから衣類を出してハンガーにかけたり、洗面道具や本を出した。

 「この本、みていい?」
 「いいよ」
 「この本、字、小さいやつ?あ、小さいやつだ。すごいね〜読めるの?」
 「読めるよ」
 「すごいなあ〜えらいなあ〜」

 お恥ずかしながらうれしかったのでした。
 階下から、ひなーと呼ぶ声が聞こえた。呼んでるよ、と言ってもリラックスしだしている。ほーらーよんでるよーって少し追い掛け回したらきゃはーって笑い、ドアをばたーんってやってどたどた降りていった。
 夕飯は近所のスーパーでお寿司を買ってたべた。民宿を出る前に、やまざきひなたが手を振っていた。僕も振りかえした。まだ日が出ていたからそう遅くない時間だったと思う。
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6月26日
 小雨が降ってきたので公園から喫茶店へ移動。
「いらっしゃいませー」と、ドアを開けると威勢のいい声に気後れする。
喫茶店には珍しい愛想のよさ。
「それ、俗に言うパソコン?」
机の上に出したポメラを見た店員が、ものめずらしそうに声をかけてきた。
俗に言うって・・・パソコンが俗世に出てからずいぶん経つけれど・・・。
「ええと、パソコンというよりも小さいワープロ、ですね」
「ふうん、それならあたしでも使えるかなあ」と彼女は言った。
注文をしたコーヒーが運ばれてくるときに
「ぼくは打つのが早いなあ」って大きな声で心底感心した風に声をかけられた。
「え?えへへ・・・」
人に「ぼく」なんて言われるのはそう無い経験。
ついこの間27歳になったんですよ。
彼女の見た目は人好きのするもたいまさこといった感じ。
お店の中で一番大きい声でしゃべるのは彼女だった。
ほかの客は遠慮して静かに語り合っているように見えた。
店内は、彼女の声と、小さく喋る客と、それよりも小さく流れる音楽と、
小雨の中を通り過ぎる車の尾をひくタイヤの音。
お店にいた約2時間の間にコップの水は3回取り替えられた。

落ち着かない喫茶店が好きになったのは初めてのことだった。





DOWN TOWN/シュガーベイブ
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つぶやき
 土曜日。公園へ行く前に図書館で借りた『あのね』と『ママ、あのね』げらげら笑いながらとっても面白く読みました。
子どものフリーダムさを少しだけ抜粋。


道路工事中で、車を停止。
警備員が旗を振ったので、再び走り出した。
「パパの車にガンバレって言ってるよ」


おでかけ前。
母「帽子かぶらないの?」
「きょうはかみの毛でいく」


母が職場の白衣をかばんから取り出した。
「ママも給食当番だったの?」


いろんな色のあめを食べながら、
「赤はいちごの味、黄は黄色の味、だいだいは東武バスの味」



いちばんときめいたのは、これ。
2歳の衣川都(きぬがわみやこ)ちゃんのつぶやき。


保育園のお散歩で、好きなハルト君と手をつないで歩いた。
どんな気持ちとたずねられて、
「あのね ねこの 気持ち」





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つづれおり
最近気がつくとよく聴いているCarolKingのtapestry。邦題『つづれおり』僕の音楽プレーヤーに入ってから、約3年。長いこと待たせちゃって悪かったね。今は出張中。腰を落ち着けて音楽が聴けるから出張ってのは悪くない。
時間をかけて、あるいは時間をおいて好きになったものって、不思議と一目惚れのように短期間に集中して聴いていた音楽よりも付き合いが長くなる。聴いていると、ある曲が好きになる時期があるし、またよく聴くと、別の曲が好きになったりして。僕はそういういろんな表情を持つアルバムを愛する者です。

ところでそんなCarolKingの『tapestry』。今好きな曲はアルバムのタイトルと同じ名を持つ『tapestry』っていう曲。今日はあまりにもうっとりとこの曲を聴いたものだから(CarolKingが情感たっぷりに唄うんだ、これが)和訳の歌詞はどんなものかって、慣れない携帯での検索をしていたんだ。そうして見つけた曲の歌詞が、僕の想像を超えて(または聴いてた音楽以上に)とても素晴らしいのでブログに書いて残しておきたい。僕が個人的に読み返したいから。ごめん、皆さん。以下歌詞


My life has been a tapestry of rich and royal hue

わたしの人生は豊かで気高い色合いのつづれ織り

An everlasting vision of the everchanging view

つねに変わりゆく眺めの いつまでもつづく未来像

A wondrows woven magic in bits of blue and gold

ブルーとゴールドの不思議な織りの魔法

A tapestry to feel and see,

見ることと感じることのつづれ織り、

Impossible to hold

つかまえておくことの不可能なもの


Once amid the soft silver sadness in the sky

むかし、空にある柔らかな銀色の悲しみの真ん中に

There came a man of fortune,

そこに運命の男がやって来たのです

A drifter passing by

通りすがりの流れ者でした

He wore a torn and tattered cloth around his leathered hide
He wore a torn and tattered cloth around his leathered hide

鞭打たれた素肌に穴だらけの擦り切れたボロをまとって、

And a coat of many colors, yellow-green on either side

両サイドがそれぞれ黄色と緑色の賑やかな色をしたコートを着ていました

He move with some uncertainty,

その男の行動にはどこか曖昧なものがありました、

As if he didn't know
Just what he was there for,
Or where he ought to go

まるで自分が何のためにその場にいるのか
自分はどこへ行くべきかがわからないといった様子なのです

Once he reached for something
Golden hanging from a tree

この男は一度、ある木からぶらさがる黄金色のものに手を伸ばし

And his hand come down empty

そして何も取らずに手を下ろしたことがあったのです

Soon within my tapestry

ほどなくして、わたしのつづれ織りの中で

Along the rutted road

轍だらけの道に沿っていくと

He sat down on a river rock

その男が渓流の岩にすわっていました

And turned into a toad

そしてカエルになってしまったのです

It seemed that he had fallen into someone's wicked spell

何者かの邪悪な呪いにかかってしまったのでしょうか

And I wept to see him suffer,

わたしは苦しむ彼を見て泣きました

Though I didn't know him well

その人のことはよく知らなかったのに。

As I watched in sorrow, there suddenly appeared

悲しい気持ちで眺めていると、そこに突然現れたのが

A figure gray and ghostly beneath a flowing beard

流れるような顎鬚とは裏腹に、青白い幽霊のような姿をした人でした

In times of deepest darkness,

これ以上ない暗い時間に、I've seen him dressed in black

わたしは黒を着ている彼を見ました

Now my tapestry's unravelling;

ここでわたしのつづれ織りの糸がほぐれたのです

He's come to take me back

彼はわたしを連れ戻しにやって来たのです

He's came to take me back

彼がわたしを連れ戻しにやって来たのです


CarolKing/tapestry

残念、出張中でYoutubeの動画が貼れない。
まあいいや、僕は今日のこの夜をこの1曲とゆっくり過ごします。(携帯から更新したから改行気持ち悪いことになってるかも。たぶん、色んな不備があるなあ)
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アイロンのある風景
 3月11日の震災をニュースで見るにつけ、衝撃の連続で感覚が鈍磨している。
 先週までは何を言っても何をしても不謹慎と思えるような風潮があったように思う。実際普段なら看過されるような個人の発言に対しても揚げ足取りとも思える辛辣さではじかれる様を見た。(今でも原子力の専門家と呼ばれる人はたびたびニュースに召喚され、答えにくい質問に窮する画をカメラがとりまくっている)
 一方で、どれだけ自分が倫理的な発言をできるかで変な競争意識のようなものが蔓延している。募金の呼びかけ、ボランティアの参加。先週までコンビニに札が入っているのが普通に見えたが今日はなかった。これからゆるやかにもっと減るのではないだろうか・・・。

 対岸の火事を眺めるようにしか目に映らなくても、そこに生きて生活している人がいるのには変わりはない。ニュースで見た一番衝撃的だった映像は津波で家が流される様子でも、死者行方不明者の数でもなく、母親を失った女の子が「お母さん」と家があったであろう方角に向って泣きながら叫んでいる映像だった。

 ひとつ紹介したい小説がある。題は「アイロンのある風景」
 村上春樹の「神の子どもたちはみな踊る」という短編小説は、阪神淡路大震災の後それをテーマに上梓された作品で、その中に納められているのがこの『アイロンのある風景』だ。

作品自体が短く、登場人物も三宅さん、順子、啓介の3人だけ。順子と啓介は同棲していて、三宅さんは順子の働くコンビニの常連。三宅さんは画家でちょっと変わった趣味を持つ。浜辺での『焚き火』がそれだ。三宅さんと順子はやがて親しく口をきくようになり、焚き火をするときには順子にも声をかけるようになる。しぶしぶ啓介も付いていく。
「先月の地震」のことを尋ねる啓介に、「さあ、ようわからん。俺な、あっちとはもう関係ないねん、昔のことや」と応える三宅さん。

以下順子と三宅さんのやりとり。

「三宅さんって、どんな絵を描いているの?」
「それを説明するのはすごくむずかしい」
 順子は質問を変えた。「じゃあ、いちばん最近はどんな絵を描いたの?」
「『アイロンのある風景』、三日前に描き終えた。部屋の中にアイロンが置いてある。それだけの絵や」
「それがどうして説明するのがむずかしいの?」
「それが実はアイロンではないからや」
 順子は男の顔を見上げた。「アイロンがアイロンじゃない、ということ?」
「そのとおり」
「つまり、それは何かの身代わりなのね?」
「たぶんな」
「そしてそれは何かを身代わりにしてしか描けないことなのね?」
 三宅さんは黙ってうなずいた。
(『アイロンのある風景』より)

 服のシワを伸ばすアイロンは今の被災者たちにとって早急に必要なものではないと思うが、そういう衣食住の次にある豊かさを当り前のように享受していた日々から隔絶されてしまった人たちが今現実にいる。
三宅さんが絵に託しているのはその当たり前だったはずの生活の残滓なのだろう。
この『アイロンのある風景』は次の会話で締めくくられる。

「焚き火が消えたら起してくれる?」
「心配するな。焚き火が消えたら、寒くなっていやでも目は覚める」
(『アイロンのある風景』より)

ニュースから映像が届かなくなっても生き残った人は生きなくちゃいけない。
いやでも生活は続いていく。
そんな生きていくことの残酷さがでている台詞だ。

| 村上春樹 | comments(0) | trackbacks(0) |
世界でいちばん幸せな公園
 今年に入ってからよく会うようになった友達がいる。
 浅く広く付き合うことができない自分にとって、暇をもてあましている人は絶好の手合いで、休みのたびに会う。卓球をして遊ぶ。夕ご飯を食べる。公園で寝転ぶ。
 なんだか「るるぶ」みたいだけれども、「寝転ぶ」だけは、ガイドブック「るるぶ」も扱わないだろう。それだけ地味で、人気はないかもしれない。
 あるとき2人で居酒屋から出て、散歩がてらにふと寄った公園で、寝転びたいなぁ、とつぶやいたら意外にも食いついてきた友達。その日から昨日まで、4度公園で寝転ぶだけ、という遊びとも言えない遊びをしている。
 4度繰り返すと、互いに「寝転び」の経験値があがって、毛布や枕を持ち込んだりしている。コンビニで少しお菓子を買って、飲み物を買って準備万端。自販機が近くにあれば、たまに暖かい飲み物を買ったりとか。
 何を喋るでもなく、お互い黙ったまま夜空を見ている時間が長い。頭の向こう側でちいさく車の通る音。風が渡ると葉のこすれる音。足元には水の流れる音が聞こえてきて、眠気を誘う。寝たっていいし、喋りたいときにだけ喋ればいい。喋らなくても沈黙なんて気にならない。深い話をするでもなく、かといって無意味と思えるギャグを言ったりもしない。寝転がっていると、不思議と喋り方がゆっくりになる。ため息が多くなる。笑う回数が少し減る。
 それはあまりいいことではないかもしれない。笑う方がいいのだろうし、明瞭に明るく喋った方がいい、と言われている。言っているのは世間で、お互い世間から離れるために公園に来ているのだから、どうだっていいのだけれど。
 ため息をつくと幸せが逃げていくなんて誰が言ったのだろう?ここではため息のたびにどうしたって「幸せすぎるねぇ」って語尾が延びて、少しニヤける。
 隣で寝転んでいる友達が「たじま君が結婚したら、こういうことできなくなるのかなあ」と言う回数が最近増えてきたように思う。
 まだ日が出ている時間、卓球をやっていると、隣の台で遊んでいた家族連れの球がとんできて、僕はお父さんらしき人に球を手渡した。その時目にした手が、大きさ、形、なんだか全てが「お父さんの手」だった。
 手袋を取って自分の手を見ると、まだまだ公園で寝転がっていられる手だと思った。
 まだ平気みたい。
 遠くに見える人家の灯りが愛しくなったころ、ちょっとだけ元気をもらってそれぞれの家に帰る。それを繰り返すこと4度。流れ星1回。
 


 
 
 
 
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